「吉原物語12」ようやく物語が再開します・・

昨日に引き続き吉原物語です。

ここ何話かは過去20年に渡る私自身の「バカの無限ループ」の話に終始し、物語自体は一向に進んでいませんでした。

今日から物語を再開します。

ちなみに物語自体はどこまで進んでいたかというと、ちょうどこのあたりの記事からの続きになります。

(「吉原ソープ物語7」久々の投稿です。まだまだ福岡での人夫時代の話が続きます・・)

2010年のあのクソ暑かった夏の頃です。

福岡での人夫生活も4ヵ月目に突入していました。

仕事は軌道に乗りつつありましたが、エアコンのない寮での生活はもはや我慢の限界を超えていました。

そうした中、日々残業を志願することで金を貯め、何とか一人暮らしを始めることが出来るまでになりました。

4ヵ月の間、雨風をしのがせてもらった寮を出て、博多駅近くのワンルームマンションで一人暮らしを始めた私は、寮を出た後もそのまま人夫の仕事を続けていました。

むしろ「人夫の仕事を続けざるを得なかった」というのが正直なところです。

もともと手持ちの金に余裕があって一人暮らしを始めた訳ではありません。

逆に一人暮らしを始めたことで、前家賃も含め10万円程度の初期費用が発生しており、手持ちの金は更に少なくなっていました。

更に当時はサラ金2社に計200万円を超す借金があり、その返済だけでも毎月2万5千円程度の資金が必要でした。

そういった状況の中では「月末締めの翌月25日払い」といった悠長な支払いサイトの仕事をやる余裕は当然ありません。

「何とか寮は出ることが出来たけれども、人夫の仕事を続ける以外に選択肢はない」というのが実情でした。

なので一人暮らしを始めてからも1日の生活サイクルにほとんど変化はありませんでした。

朝5時半くらいに起きて、6時過ぎに家を出る。

自転車で15分くらいで会社事務所に到着。

事務所で30分ほど、当日の現場が決まるまで待機。

ここで寮で隣の部屋だった先輩Sさんと合流します。

Sさんとタバコを吸いながら待っていると、7時前には今日の現場が決まります。

私は幸運なことに、寮を出た後も当日の仕事にあぶれるということはありませんでした。

運転免許を持っていたということが大きかったのかも知れません。

以前記事にしましたが、どうしても寮生のほうが仕事を優先的にまわしてもらえるため、自宅通勤組は日によっては仕事にあぶれてしまうということがありました。

また自宅通勤組と寮生とでは給与の支払い方法にも違いがありました。

私が主に働いていた「産業廃棄物処理場でのゴミ仕分けの仕事」は日給が7千円でした。

寮生の場合、この7千円のうち毎日の仕事終わりに貰えるのはたったの2千円です。

ちなみに、こうした「人夫の給料の仕組」についてはこちらで記事にしています。

(「吉原ソープ物語 3」日給7,000円のうち、仕事終わりに貰えるのは、たったの2,000円・・・ 会社に搾取される日々。貧困ビジネスの餌食に・・・)

一方で、自宅通勤組には毎日の仕事終わりに7千円全額が支払われます。

実際は保険代と税金で数百円の控除がありましたが、それを差し引かれても6,500円以上の現金が毎日仕事終わりに貰えることになります。

これは本当に嬉しかったです。

ただ冷静に考えてみると、あまりに安い日当ではあります。

1日7千円弱の現金を手にするために、どれだけの苦労や負担を強いられるか・・

1日中ホコリにまみれて働くことで呼吸器官系への相当な負担が生じます。

通常のマスクでは全く役に立たないくらいの凄まじい量のホコリを1日中吸い続けなければなりません。

また解体の現場ではホコリだけでなく、アスベスト被害の危険もありました。

周囲で重機やリフトが走り回る中、1日中ゴミを漁り続けるという作業のため、接触事故にも気を付けなければなりません。

夏のクソ暑い時期には熱中症のリスクもあります。

その一方で、夕方から天気が急変しゲリラ豪雨になることも。

近くに雷が落ちる轟音が響く中、カッパごとびしょ濡れになりながら作業を続けるということもよくありました。

現場によっては20歳そこそこの社員に怒鳴られ、まさにモノのように扱われながらの作業となることもある。

このような様々な苦労や危険、そして屈辱にまみれながら、何とか1日働いて手にすることが出来る金額が7千円・・

確かになかなかに厳しいようにも感じます。

ですが当時はこの7千円弱の現金をそっくりそのまま仕事終わりに貰えるということがあまりにも嬉しくて仕方がありませんでした。

寮生の頃には日々2千円しか貰えなかったのに比べて、何か大出世をしたような気分でした。

そして仕事が終わったら、エアコン付きのひとりの部屋で思う存分晩酌を楽しめる。

寮にいた頃のように、風呂やも洗濯の順番待ちもしなくて良い。

仕事以外の時間に、口を利きたくもない人間と顔を合わせる必要も無い。

まさに天国でした。

この4ヵ月、寮で頑張った甲斐があったと心底思いました。

ただしこの天国のような時期はあまり長く続くことはなく、この後私はその何倍もの地獄に突き落とされることになります。

このあたりの話はまた次回以降に記事にしていきます。

ちなみに上で書いたように、寮生と自宅組では日当の支払われ方が異なった訳ですが、それはおそらく次のような理由からだと思われます。

一般的に、こうしたガテン系の仕事に怪我はつきものです。

たとえ業務上の怪我であっても、その怪我で仕事を休まざるを得なくなった場合、人夫には翌日から一銭も入ってきません。

労災等はあって無きが如くです。

自宅組の場合は怪我をして休んだとしても、それはただ単に欠勤ということで、それ以上何もありません。

ただ単に給料が発生しないというだけの話です。

ただし、これが寮生の場合は少し話が異なります。

寮生の場合も仕事を休めば当然給料はありません。

ですが、給料は貰えなくても日々の寮費というものは発生します。

私のいた寮は1日の寮費が2千円でした。

これを半月に1度、給与から差し引く形で精算します。

寮生は日給7千円のうち毎日現金でもらえるのはたったの2千円ですが、残りの金額はこうして半月毎に寮費を精算した後に支給されます。

もし仮に寮生にも毎日7千円全額を支給していたとすると、寮生が怪我で仕事を休まざるを得なくなった場合に、手持ちの金から寮費を支払える人夫がどれだけいるかというと、まずいないと言っていいでしょう。

私も含め人夫という人種は基本的に手元にある金は酒やギャンブルなどで全て使い切ってしまいます。

ですので、会社側からすれば、寮生に対しては給与の一部をプールしておくことで、何かの際の寮費の予備資金として取って置きたいということでしょう。

実際に、寮生の寮費に絡むトラブルというのはよくありました。

私がまだ寮にいた頃、同じ寮に20代半ばの若い男の子がいました。

若いので体力もあり、日勤、夜勤と連続で入ったり、すすんで残業も志願するというような真面目な子だったのですが、ある時仕事で怪我をして数日間休まざるを得なくなってしまいました。

そして数日休んでいるうちに、やはりどこかで気持ちが切れてしまったんでしょう。

おそらく体は良くなって仕事にも復帰できたにも関わらず、仕事に行く気が起きない。

ですので会社にはまだ体調が万全でないと伝えて、そのまま仕事を休み続ける。

1週間が経過し、2週間、3週間とそのような状態が続きます。

仕事を休んでいて、たとえ手持ちの現金がなくなったとしても、すぐに寮を追い出されることはないので、そのままダラダラと日々を過ごしてしまいます。

会社側としても、寮生は大事な大事な金ズルですので、無理やり寮から追い出してしまうようなことは決してしません。

仕事をしない人夫の1日・・

我々仕事組は毎朝6時前には寮を出ます。

すると彼以外、寮には誰もいなくなります。

その間エアコンも無い古い一軒家にひとり居残り、何をやっているのかもよくわかりません。

ですが外に遊びに行く金もないでしょうから、寮でテレビでも見ているんでしょう。

そして我々仕事組が帰ってくると、何となく部屋を訪ねてきてはタバコやカップラーメン等の食料をせがみます。

こうして日々の食料さえ何とか手に入れてしまえば、働かずとも屋根の下で生活することが出来るという訳です。

ただ、この間も確実に会社の帳簿上は寮費という負債が日々2千円ずつカウントされています。

1ヵ月も働かずに休んでしまうと、もう大変です。

1日2千円の寮費 × 30日 = 6万円の負債を抱えることになります。

その後、日給7千円の仕事に復帰したとしても日々の生活費とは別に6万円もの負債を返済していくのは並大抵のことではありません。

そういった状況に陥ってしまった時、果たして人夫はどのような行動に出るのか。

答えは1つしかありません。

逃げます。

確実に逃げます。

会社には仕事を休むと連絡を入れて寮にいる。

我々仕事組が朝出勤して誰も寮にいなくなった間に必要な荷物だけを持って寮を出ます。

そして恐らくまた別の人夫出しの職場に厄介になるのではないでしょうか。

私とは少し違った形ではありますが、こうした無為な無限ループを延々と繰り返している人々をよく目にした世界でもありました。

というところで、また次回に続きます。

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「吉原物語12」ようやく物語が再開します・・” への2件のコメント

  1. 初めまして。興味深く読ませて頂いています。 私も少しでも気を許すと深酒してしまうタイプなので、皆さんの断酒を参考にさせて貰っています。文章が上手なので、続きが楽しみです。

  2. ケイシさん。
    いつもブログを読んで頂き、有難うございます。
    そうですよね、このジャンルには共通の悩みを持った方々のブログが集まっていますので、私自身も参考にさせてもらったりしています。
    今後とも、よろしくお願いします!

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