「吉原物語16」終わりの始まり。夜逃げしかない・・

吉原の風景

久々に吉原物語です。

6月の中旬から新しい職場での勤務が開始、その後比較的慌しい日々が続いていた関係で、この「吉原物語」は大分ご無沙汰になっていました。

ちなみに前回(「吉原物語15」そして遂に人夫の仕事に別れを告げる時が・・)の投稿が6月8日でしたので、ほぼ1ヵ月振りの物語再開となります。

「吉原物語」に関しては、今後もこうした間延びしたペースでの記事更新になってしまうとは思っています。

ですが、この「吉原物語」は「決して消すことの出来ない自分自身の過去」です。

今後の人生を歩んでいく上で、「自分自身の反面教師」として参考に出来る部分や、また「こうした底辺での生活を耐え抜いた」ことで何とか今の自分があるということを再認識する意味でも、この物語を続けていくことは自分にとっても意味のある作業だと思っています。

ということで早速、物語再開です。

前回の記事(「吉原物語15」そして遂に人夫の仕事に別れを告げる時が・・)では人夫生活半年にして、とうとう仮病による欠勤をしてしまい、更にその翌日には無断欠勤。

これでもう職場への復帰は有り得ない中、手持ちの金は僅かで、今月分の家賃やサラ金2社への支払いの当ても全くないというドツボの状態といったところまでを書きました。

ただ私自身が、もしも冷静に状況を直視することが出来る人間であったならば、この後更に泥沼の深みにはまっていくことはなかったでしょう。

所詮人夫の仕事を1日無断で休んだだけのことです。

もともと、この仕事を一生続けるつもりでいた訳でもありません。

たとえ無断欠勤により、もう職場に戻れない状況であったとしても、逆に「今回、これが人夫の仕事と縁を切る良いタイミングだったのかも知れない。居心地が良くてダラダラと長く続けて、他に何のツブシもきかない人間になってしまうよりは、結果的に良かったかも知れない」というふうに割り切って、すぐに次の仕事を探す。

これくらいの機動力は持っていたいものです。

ただ実際の私はそうした切替が出来るような人間では全くありませんでした。

変なところで真面目というか、人の良さが顔を覗かせるというか・・

これは決して良い意味で言っているのではありません。

自分の甘さというか、諦めの悪さというか、なかなか的確な言葉が見つかりませんが、とにかくその時の何となくの気持ちの悪さに引きずられて、そこに酒も入り込み、結果として最も悪い行動を選択してしまいます。

職場から逃げ出し、無職に。

かと言って次の職場を探すでもなく、酒浸りの日々。

まさに

「座して死を待つ」

状態になってしまいます。

酒を飲んでいるか、寝ているか。

常に、この2つの状態のどちらかです。

そして携帯も電源を切ったまま何日もほったらかしです。

人夫の世界では私に限らず、もともとバックレ等は日常茶飯事でしたので、さすがに電話が繋がらないからといって社員の人が自宅まで訪ねてくることはありませんでした。

寮で隣の部屋だった先輩のSさんからは一度だけメールが来ていました。

それらも無視して、ひたすらひとり、酒の世界に延々と入り浸ります。

9月の上旬に人夫の職場を無断欠勤し、それ以降働かずに部屋で酒ばかり飲んでいる。

当然手持ちの金は底を尽き始めます。

月末には翌月分の家賃を振り込まねばなりませんが、当然そうした金もありません。

一方でサラ金2社からの200万円近い借金は厳然と存在しており、その毎月の返済として2万5千円近くの金も、そろそろ必要な時期です。

「人生詰んだ・・」

酒を飲みながら、ひとりボーっと考えています。

冷静に考えれば、この時点ではまだ人夫出しの現場を数日間休んだだけの状態で、家もあるし携帯もつながる状態です。

気持ちさえ前向きになれれば、いくらでも復活は可能、そういう状況だと思います。

ただ、もう連日連夜の酒に毒されて、気持ちが全く前向きになれません。

連日の酒によって顔もむくみ切ってしまっていて、外に出て人に会う気にもなれません。

まさに「座して死を待つ状態」です。

そして遂には、とうとう本当に手持ちの金が尽きてしまいます。

財布の中には5円玉と1円玉が数枚あるだけです。

そこで、どうした行動に出るか。

これも毎度毎度のパターン、バカの一つ覚えです。

部屋にある金目のものを売りに行きます。

この当時、私はパソコンとモニターを持っていました。

ただ実際には「持っていた」というのも少し微妙で、auひかりの新規開通で4万円くらいのキャッシュバックを受けられたので、それを利用してパソコンを新調しただけのことでした。

更にモニターは産廃処理現場のゴミにあったものを無理言って持って帰らせてもらったものでした。

それらを博多駅近くの中古品買取の店に持って行き、合計で2万円弱の現金に換えることが出来ました。

そしてその金で一念発起して職探しを始めるかというと、当然そんなことはありません。

全て日々の酒代に消えます。

そうこうするうちに、9月も終わりに近付いてきました。

人夫を辞めてから2週間ほどが経過した頃です。

9月中には来月の家賃を振り込まないといけないのですが、どうやっても無理です。

ギブアップ・・

家賃の手当ては、もう諦めました。

9月中に夜逃げするしかない・・

「10月に入った瞬間に不動産会社からの鬼のような取立てが始まるんだろうな・・」ということをボンヤリと考えつつ、かといって何か行動を起こすでもなく、これまで同様にひとり部屋で静かに酒を飲む、このようにして残り少ない9月の日々が過ぎていきました。

そして、とうとう10月を迎えます。

当時は、当然のごとく携帯料金も払っていませんでしたが、電話はまだ止められてはいませんでした。

ただ日中はずっと携帯の電源を切っているので、不動産会社から家賃督促の連絡が入っているかどうかはわかりません。

怖くて携帯の電源を入れることが出来ませんでした。

日中はいつ業者が部屋に押し掛けてくるかわからないので、オチオチ部屋にもいられません。

仕方なく外に出ます。

ですが外に出てはみたものの、大して金がある訳でもなし、やれることは限られています。

結局1円パチンコ屋で、残り少ない手持ち金を少しでも増やせるよう、安い台にしがみついていました。

そうこうしているうちに夜の23時になり、パチンコ屋も閉店を迎えます。

他に行くアテもなく、仕方なく部屋に戻ることにします。

ただ実際には

「部屋に帰るのが怖い・・」

こういった気持ちに支配されています。

部屋のドアに貼り紙でもされているんじゃないだろうか・・

「家賃振りこめ!! この盗人が!」

こういった貼り紙・・

特にこの頃、家賃遅延による不動産会社とのトラブルといった報道がよくされていました。

例えば家賃が1日遅れただけで鍵穴を交換されて部屋に入れなくなっただとか、他には部屋の中の私物を全て売り払われただとか。

日中は携帯の電源も切ったままにしているので、不動産会社から連絡があったかどうかすらわかりません。

恐怖から逃げるために、全ての情報を遮断し、そのことで更に自分の中で恐怖を大きくしていく、そうした悪循環に完全に入ってしまっています。

これも全て困難から、都合の悪いことから、そして恐怖に感じたことから逃げ出してしまうという自分のズルイ性格に起因した自業自得の結果です。

手持ちの金に余裕があれば、本当なら家には戻りたくないというのが本音です。

ですが手持ちの金額を考えると、ネットカフェに泊まるほどの余裕すらありません。

結果、選択肢は1つです。

「今夜、無事に部屋に戻れて、晩酌が出来るのであれば、もう他には何も望まない」

本当にそんな気分です。

無事部屋に入れさえすれば、500円ほどの金で缶チューハイ2本と簡単なつまみ、そして締めのカップラーメンくらいは買うことが出来ます。

その極楽をどうしても味わいたい。

意を決して自宅に戻ります。

エレベーターで自分の階まで上がり、恐る恐る自分の部屋の前まで辿り着きました。

というところで、また次回に続きます。

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